運動、食事、睡眠、旅行、美容、セルフケアなど、よい状態を目指す活動・生活習慣・商品。
「幸せ」より広く、
「健康」よりも広い
ウェルビーイングは一つの商品カテゴリーではない。人・組織・社会が「よく生きられているか」を、心身、生活、関係、意味、環境、持続性から捉える上位概念である。
その人が心身・生活・人間関係・社会環境を含めて、持続的に「よく生きられている状態」。
DEFINITION
ウェルビーイングとウェルネス
市場規模を理解するには、「到達したい状態」と「その状態を目指す活動・商品」を分ける必要がある。
心身・生活・関係・意味・環境を含めて、よく生きられている状態。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| Well-being | 人や社会の「よい状態」 | 健康、安心、意味、つながり、生活満足 |
| Wellness | よい状態を目指す活動・生活習慣 | 運動、睡眠、瞑想、食事、セルフケア |
| Wellness economy | 活動を支える商品・サービス市場 | ジム、化粧品、サプリ、旅行、住宅、アプリ |
DIMENSIONS
一つの数値ではなく、多面的な状態
身体
健康、睡眠、痛みの少なさ、活力
心理
感情の安定、自己受容、自律性、成長実感
意味
生きがい、目的、自分らしさ、貢献感
関係
家族、友人、所属、信頼、社会的つながり
生活基盤
所得、住居、雇用、教育、安全
社会・環境
公平性、地域、自然環境、社会参加、将来性
所得と資産/仕事と仕事の質/住居/健康/知識と技能/環境の質/ワークライフバランス/社会的つながり/市民参加/安全/主観的ウェルビーイング
MEASUREMENT
主観と客観の両方を見る
客観的条件
所得、健康、雇用、住居、安全、教育、環境など、外部から観察・測定できる生活条件。
条件と経験の組み合わせ
主観的経験
生活満足、日々の感情、意味や目的など、本人が人生をどう経験・評価しているか。
人生評価
総合的に見て、自分の人生にどのくらい満足しているか。
感情
最近、楽しい、穏やか、不安、悲しいなどをどの程度経験したか。
意味・目的
自分のしていることに意味があり、能力を生かしていると感じるか。
所得が高くても孤立している、満足度は高くても雇用が不安定という状態がある。客観条件だけでも、本人の気持ちだけでも全体は捉えられない。
HAPPINESS
「楽しい」と「よく生きる」は違う
| 状態 | 楽しさ | 意味 | ウェルビーイングとして見ると |
|---|---|---|---|
| 好きな動画を一晩中見る | 高い | 場合による | 睡眠を損なえば低下し得る |
| 苦労しながら子育てをする | 常に高くない | 高いことがある | 負担と意味の両方を見る |
| 高収入だが過労と孤立がある | 場合による | 場合による | 総合的には低い可能性がある |
| 挑戦的な仕事に取り組む | 苦しい時もある | 高い | 成長や自律性を含め高まり得る |
ウェルビーイングは、いつもポジティブでいることではない。苦しさがあっても、意味・つながり・自律性・生活基盤が保たれた「よい人生」はあり得る。
MARKET REALITY
巨大なのは「状態」ではなく周辺市場
Global Wellness Instituteによる11分野の合計推計。Well-beingそのものの市場規模ではない。
美容・パーソナルケア
健康的な食事・栄養・減量
フィットネス・身体活動
ウェルネスツーリズム
予防医療・個別化医療
ウェルネス不動産
メンタルウェルネス
職場のウェルネス
新しい単独市場が生まれたというより、以前からある健康・美容・旅行・住宅・職場支援が「よりよく生きる市場」として再編集された側面が強い。
ACADEMIC & POLICY
なぜ大学と政策の対象になるのか
よりよい状態にする
大学で扱うのは「幸せになる方法」だけではない。何がよい状態をつくるのかを測定し、個人・組織・地域・社会の仕組みを設計する学際領域である。
日本の内閣府も、生活満足度と家計、雇用、住宅、健康、教育、社会的つながり、自然環境、安全、子育て、介護などをWell-beingダッシュボードで捉え、政策運営への活用を進めている。
RISKS
広い概念だからこその曖昧さ
定義が広すぎる
健康に関係する商品なら何でもウェルネスと呼びやすい。
目的が混同される
幸福感、健康、生産性、企業利益が同じものとして扱われる。
個人責任化
過労や格差など構造問題を、セルフケア不足に置き換える危険がある。
根拠の強弱
科学的な介入と、疑似科学的な商品が同じ市場に混在する。
高級化
本来は誰にでも重要な状態が、富裕層向け消費として売られやすい。
測定の限界
満足度だけでは、不平等や将来の持続可能性を見落とし得る。
JIBUN KENPO
自分憲法との関係
現在の経験・感情・考えを観察する。
選択肢や前提、行動を対話で検討する。
自分にとってのよい状態と判断基準を定義する。
仕事、関係、健康、暮らしの中でよく生きられている状態。
ウェルビーイングは目指す状態。自分憲法はその状態を自分なりに定義し、日々の選択へ反映する仕組み。
自分憲法だけでウェルビーイングが保証されるわけではない。所得、健康、家庭、職場、社会環境など、本人の意思だけでは変えられない条件も大きく影響する。
SOURCES